ここでは、経理業務をこなす上で必要となるスキルや知識についてお話します。
ここまでの記事で、経理業務は会社のお金の流れを管理するものだとお伝えしました。
そのためには、以下のスキルや知識が必要になります。
- 簿記
- 給与計算
- 税金の知識
- 社会保険の知識
- 会社法・商法・民法などの法律知識
- ITスキル
以上の各項目について解説してみます。
1.簿記
簿記とは会社のなかでのお金の出入りや、権利・義務が発生した際の記録を付けていく方法です。
ここで記録された情報をもとに、請求や支払をしていったり、会社の利害関係者へ経営状況の報告をしていったりします。
簿記の結果が、経営をしていく上での重要な情報源となるので、正確性が求められます。
お金の出入りだけではなく、会社の所有する財産や資産の記録もあるので、単純な家計簿のような記録よりも複雑になります。
家計簿などと決定的に違うのが、複式簿記と呼ばれる取引の記録方法です。
この複式簿記を身に付けるためにも、まずは「簿記検定」の勉強をされるのをお勧めします。
簿記検定も色々な種類がありますが、初めは「日商簿記3級」から始めれるのが良いでしょう。
日商簿記検定はこちらからご確認ください。
2.給与計算
会社のお金の出入りを管理するうえで、大きいのが給与です。
だれにいくらの給料を支払わなければならないのかを計算する必要があります。
単なる時給の給与計算なら労働時間に時給を掛けてすぐに計算できるでしょう。
しかし、源泉徴収や社会保険などの控除というのをしなければなりません。
また、残業などが発生した場合には労働基準法によって割増賃金などの計算も必要になります。
意外と給与計算は奥が深く、複雑になります。
この給与計算のスキルを身に付けるには、「給与計算実務能力検定」の勉強をされるのをお勧めします。
給与計算を「勤怠」「支給」「控除」の3つの項目に分けて理解していくことができます。
給与計算実務能力検定はこちらからご確認ください。
3.税金の知識
会社経営のみならず、日本に住む人すべてに関わるのが税金です。
会社において発生する税金は、法人税、法人事業税、法人住民税などがあります。
他にも従業員の皆さんの所得税や住民税を、会社が代わりに徴収して納付する義務があります。
他にも、最近インボイス制度で話題になっている消費税もあります。
他にも土地や建物などあったら固定資産税というのも掛かってきます。
いつどれくらいの金額を税金として納めなければならないのかを把握して納付できる知識とスキルが必要になります。
税金のプロフェッショナルとしては税理士さんがいます。
税理士資格は難関資格なので、経理をするうえで取得していれば非常に強みになりますが、取得するまでにかかる労力はとんでもない量になるでしょう。
そのため、税理士さんをうまく活用していく方が得策でしょう。
簿記や給与計算の知識やスキルがあれば、税理士さんともスムーズにコミュニケーションが取れると思います。
直接税金の知識を身に付けるのではなく、まずは簿記と給与計算の知識を身に付けていくと良いでしょう。
4.社会保険の知識
給与計算をするうえで、社会保険の知識は必須となります。
社会保険料の計算ができなければ、従業員の給与からいくら控除すればよいかもわかりません。
また、従業員から徴収した社会保険料をいつ、誰にいくら納付すればよいかも理解する必要があります。
社会保険は大きく「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」「労災保険」に分けられます。
これら社会保険についてのプロフェッショナルとしては「社会保険労務士(社労士と略されます)」さんがいます。
社会保険労務士資格も難関資格なので、ご自身で取得するにはかなりの労力がかかるでしょう。
税理士さんと同じく、社労士さんもうまく活用していくことが得策でしょう。
先述の「給与計算実務能力検定」に合格できるくらいのスキル・知識があれば社労士さんとのコミュニケーションもスムーズにできると思います。
まずは給与計算実務能力検定の勉強をされることをお勧めします。
5.会社法などの法律知識
会社やビジネスは、会社法や商法といった法律によってその活動をルール化されています。
これらの法律に従わなければ、罰金などのペナルティを受けることもありますので、把握しておく必要があります。
他にも従業員を雇う場合は、労働基準法によってルール化されています。
他にも、一般的な取引や契約については民法などの適用を受けます。
会社を取り巻く法律は無数にあります。
そのすべてを把握することはおそらく不可能に近いでしょう。
そのため、弁護士や司法書士、行政書士さんなどと上手に連携して業務を進めていくことをお勧めします。
経理業務を行う上で必要な法務知識はビジネス実務法務検定の勉強をすると良いでしょう。
ビジネス実務法務検定はこちらからご確認ください。
6.ITスキル
いまや仕事をするうえで、パソコンやインターネットなどのITに関する知識・スキルは必須です。
ここまでに挙げてきた簿記や給与計算もより簡単にできるITツールが多数開発されています。
こうしたITツールを適切に使いこなせるレベルのITスキルが必要となるでしょう。
ITスキルを身に付けるためには、まずは「ITパスポート」の勉強をすると良いでしょう。
ITパスポートについてはこちらからご確認ください。
7.まとめ
以上が経理業務をするうえで必要なスキル・知識となります。
広範なスキルや知識が求められるので、焦りや不安を感じてしまうかもしれません。
確かに覚えなければならないことが多いですが、その分身に付けてしまえばどこでも通用する人材になれます。
まずは、焦らずじっくりと「日商簿記3級」から始めていきましょう。
また、トータル的な経理スキルを身に付けるには「FASS検定(経理・財務スキル検定)」というのもあります。
他にも個人の資産形成にも役に立つ「ファイナンシャルプランニング技能士(FP技能士)」という資格の勉強も経理業務には役に立つでしょう。
こられのスキルや知識は仕事だけでなく、個人の暮らしを豊かにしていくにも役に立つものです。
ぜひ、これらのスキルを身に付けて、キャリアアップを図ってみてください。
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