【書籍紹介】「会計天国」簿記・会計のスゴさ・面白さが分かる本

経理マスターへの道

簿記1級に挑戦中で挫折しかかっていることを以前の記事でお伝えしました。

しかし、まだ諦めていないのでモチベーションを向上させるために、簿記や会計に関する読み物的な本を読んでみようと思い、見つけたのがタイトルにある本です。

会計天国竹内 謙礼 青木 寿幸 (著)、PHP出版

AmazonのKindle unlimitedで電子書籍が無料で読めたので、Kindle unlimited会員の方はぜひお気軽にご購入ください。

サブタイトルに「今度こそ最後まで読める、会社で使える会計ノウハウ」とあるとおり、小説形式で気楽に読めて、簿記や会計の知識をどのように活かしていくのかがよく分かる本です。

ここではこの「会計天国」がどのような本か書評してみます。

簿記や会計の勉強で疲れた方や、経理業務に充実感を求めている方、中小企業診断士試験の受験生の方におすすめです。

本の概要・目次

「会計天国」の概要やあらすじは以下のとおりです。

ビジネスパーソンや経営者にとって最も重要な知識なのに、なかなか身につかないもの……
それが「会計」の知識。どんなにやさしそうな入門書でも、
読み進めるにつれ難しい言葉や数字が多くなり、最後まで続かないものが
多かったのではないでしょうか?
本書はそんな悩める人たちの一冊。物語で会計&決算書の知識が身につきます。
先の展開が気になって読む手が止まらないのに、気がつけば学べているという
理想的な一冊です。

娘の結婚式を間近にして交通事故死した、コンサルタントの北条。
死に切れない北条の魂の前に現れた天使「K」が、現世への復活のための条件を出す。
それは、「放っておくと不幸になる5人の経営者やサラリーマンたちを、
会計のアドバイスで幸せに導く」こと。失敗すれば地獄行き。
決意を固めた北条。彼を待ち受けるのは天国か、はたまた地獄か――?
最初の12ページで必ずハマる、今度こそ最後まで読める会計&決算書の本。

Amazon販売ページより引用

目次は以下の通りです。

プロローグ

序章「1週間後に、お亡くなりになります」

第1章 なぜ、「儲かっている」と言われる会社が倒産するのか?

第2章 価格競争に陥ったら、会社がやるべきことがひとつある

第3章 粉飾決算という泥沼から抜け出して、再生する

第4章 部長課長が同期との競争に勝って出世する方法

第5章 会社の戦略が変われば、組織も当然、変わる

最終章 「幸せ」になろうとする意志

基本的には主人公のコンサルタント「北条」が問題を抱えた5人の経営者やサラリーマンを会計知識を使って助けていくという内容です。

物語の随所にギャグやシリアスな内容が散りばめられていて、笑いあり涙ありの読み物としても良い内容となっています。

財務会計からの観点

それぞれの章で、問題を抱えた登場人物が一人ずつ出てきます。

それぞれの登場人物の抱えている問題は、財務会計での論点ごとに分かれています。

  • 第1章 貸借対照表による安全性の分析
  • 第2章 損益計算書による収益性の分析・損益分岐点分析
  • 第3章 B/S・P/Lの弱点、粉飾決算の可能性検討、ごまかせないキャッシュ・フロー計算書
  • 第4章 部署ごとの損益計算書、共通固定費を賄う貢献利益の考え方
  • 第5章 セグメント別決算書、プロダクトポート・フォリオ・マネジメント(PPM)、成長戦略

中小企業診断士の勉強をされている方だと、見慣れた言葉がたくさんあるんじゃないでしょうか?

簿記を勉強されている方だと、聞き慣れない言葉もたくさんあるかもしれませんね。

この本で取り扱っている会計は、決算書から現状を分析して、将来の決算書を描き出す、「管理会計」や「意思決定会計」と呼ばれるものです。

過去の記録をつけていく「簿記会計」とはちょっと違いますね。

皆さんは「黒字倒産」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

これはその名の通り、利益が出ているのに倒産することを言います。

不思議ですよね?ですが現実によく起こることです。

この現象について解説しているのが、第1章です。

このように、会社で起こる会計上の問題についてわかりやすく解説した上で、その解決策などを紹介してくれているのがこの本です。

経営者や経理担当者であれば絶対に知っておくべきことだと思います。

これを知らずになんとなくで経営をしていると、いつの間にかとんでもないことになっているかもしれません。

この本の問題を抱えた登場人物はみんなこれらの会計知識を学ばずにきて、大きな問題を抱えてしまいました。

その点について、主人公の北条はこのように言っています。

実践経験から営業テクニックを学ぶことが大事だなんてバカなことを言って、ろくに勉強もし ない人間に、出世は100%あり得 ない

竹内 謙礼; 青木 寿幸. 会計天国 (PHP文庫) (p.222). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.

要領が悪い人間でも、仕事を覚えるために、ちゃんと勉強してキャッチアップすれば、学歴というハンディをひっくり返すことだってできるんだ。もちろん、そこには人一倍の努力は必要 だけど、勉強による少しずつの差が、長い間で大きな差に変わるんだ。つまり、『 努力』する 方向が分かっていて、実際にそれができるサラリーマンが出世できる

竹内 謙礼; 青木 寿幸. 会計天国 (PHP文庫) (p.223). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.

もっと早く赤字に気づいて、資金の余裕があるときなら、社員をクビにしない方法があったかもしれないわ。でも今は、もうタイムアップなの。あなたがセグメント別の決算書を作っていなかったから、意思決定が遅れたのよ。これも、あなたが経営者としての自覚を持たず、勉強していなかったせいよね

竹内 謙礼; 青木 寿幸. 会計天国 (PHP文庫) (pp.306-307). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.

けっこう厳しいですよね。

私も結構グサグサ刺さって、手厳しいな~と感じました。

けど、現実は確かにそうだな~と思わされます。

ぜひ、この本を読んで、北条に叱られずに、なによりも仕事や事業が手遅れにならないように、学んでいきましょう。

物語としての面白さ

この本は会計に関する本でもありますが、小説としての物語の面白さも兼ね備えています。

本の冒頭でいきなり主人公は死んでしまいます。

それも主人公の一人娘が結婚する直前にです。

そのため、天使の「K」の提案に乗り、生き返りを賭けた「5人の人物を幸せにする」というゲームに挑みます。

それぞれを幸せにしていく中で、人が本当に幸せになるとはどういうことなのかを、主人公と一緒に考えさせられます。

会計というと、ただ数字を追いかけるだけの理屈っぽくて冷たいイメージがあるかもしれません。

しかし、その数字の裏には様々な人間の働きが存在しています。

それぞれの感情や言動によって、現れた結果が会計の数字です。

その数字から様々な人間ドラマを垣間見ることができます。

そうした、人間が紡ぎ出す物語を楽しめるのもこの本の面白いところだと思います。

財務コンサルってかっこいい!

主人公の北条は財務会計を得意とした経営コンサルタントです。

私も中小企業診断士という資格を持って、コンサルティング業務に当たることがあります。

作中にあるように、コンサルティングで大事なのは当事者にやる気になってもらって行動してもらうことです。

形だけの相談では事業者様は納得してくれません。

私も時々お叱りを受けることもありました。

理屈だけではないんですね。

本作の主人公・北条は前述したとおりにかなり厳しいことを言ったりします。

ですが、それは責め立てるものではなく、本気になってほしいからだと思います。

作中で北条は、褒めたり励ましたりもしています。

そうして、本当に事業者様のそばについて、「幸せになってもらう」ことを願えるコンサルタントはかっこいいと思います。

もちろん、しっかりとした方向性を指し示せるように財務会計についての深い造詣が必要で、それをわかりやすく伝える能力も必要でしょうね。

私も、こんなコンサルタントになりたいと思わされました。

モチベーションが高まりまくりです!

まとめ

今回は書籍「会計天国」をご紹介しました。

小説形式でスラスラ読めて、会計知識の活かし方をしっかりと楽しく学べる良書でした。

また、本当に幸せになるとはどういうことかも考えさせられます。

会計のコンサルタントはかっこいいなと思わされ、簿記や会計の勉強ももっと頑張ろうとモチベーションも上げてくれましたね。

ぜひ、みなさんもこの本を読んで、「幸せ」になっていきましょう。

会計天国竹内 謙礼 青木 寿幸 (著)、PHP出版

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