会社の経費にする場合、必ず領収書をもらっておく必要があると思います。
ただ、スーパーや飲食店のレジで領収書を書いてもらうか、レシートで良いのか迷うことってありませんか?
結論としては、「スーパーや飲食店などで、3万円未満の金額ならレシートがよい」ということになります。
ここでは、経費を使った場合に領収書とレシートどちらをもらうべきかを、それぞれの特徴とともに解説していきます。
(1)領収書やレシートを貰う目的
そもそも、なんで領収書やレシートを貰っておかなければならないのでしょうか?
会社は事業をする上で、様々な経費を支出します。
そして、その経費を使って何かしらの商品やサービスを提供していきます。
そうすることで初めて売上が立ちます。
このとき、売上から経費を差し引いて、自社の儲けである利益が計算されます。
税金は、この利益に対して税率を掛け算して税金の金額を算出します。
このことから、経費が沢山あれば利益が低くなり、収めるべき税金も安くなります。
なので、会社は税金を安くするため、事業のために支出した経費をすべて計上しようとします。
このときに、「ちゃんと経費として支出しましたよ」ということを証明する証拠が必要になります。
この証拠となるのが、領収書やレシートなのです。
これらの事業活動としての取引を証明する書類のことを「証憑(しょうひょう)書類」と呼びます。
企業にはこの証憑書類を保管することが税法や会社法といった法律で義務付けられています。
そのため、経費支出をした場合は、領収者やレシートを受け取って保管しておかなければならないのです。
また、各会社において経理担当者が帳簿を作成していると思います。
経理担当者は、従業員から証憑書類を受け取って、その内容から帳簿に記録をしていきます。
このときに、口頭で「これをいくらで買いました」と言われても本当かどうか分かりません。
なので、経理担当者にその経費が「いつ何にいくら使ったのか」を正確に伝えるためにも領収書やレシートが必要になるのです。
(2)領収書とレシートの違い
では、領収書とレシート、どちらをもらうべきなのでしょうか?
そもそも、領収書とレシートはどう違うのでしょうか?
領収書とレシートの違いで、もっとも大きな違いは「宛名」のあるなしではないかと思います。
レシートを発行しているところというとどういうところを思い浮かべますか?
おそらく、スーパーやコンビニ、飲食店などではないでしょうか。
これら業態のお店というのは、不特定多数のお客様を相手にしています。
ここでいちいち領収書を書いていたら相当な時間と手間がかかってしまいます。
そのため、レシートはレジで売り上げた品目を入力したら、何をいくらで買ったかだけが印字され、その代金を受け取った証明として、そのレシートが渡されます。
だからいちいち宛名なんかは聞かれません。
一方、領収書を貰う場合はどういう時でしょうか。
レジが無いようなお店では領収書を書いて貰う必要があります。
また、金額の大きい取引の場合など領収書になるかと思います。
このときに、宛名を聞かれると思います。
宛名が必須かというと、必ずしもそうではないです。
経費支出の証拠として見た場合、いつ、だれに、何のために、いくら支出したのかが明確になればいいからです。
ただし、消費税法上は宛名が必要になります。
消費税法において、経費精算に必要な証拠書類には、以下の要件が求められています。
- 書類作成者の氏名または名称(店名)
- 取引年月日
- 取引金額
- 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称(宛名)
ですが、先述したとおり、不特定多数のお客さんを相手にしているようなスーパーや飲食店ではいちいち宛名入りの領収書を発行していては手間がかかってしょうがないです。
そのため、消費税法では以下の事業者が発行する領収書(レシート)には宛名が記載されてなくても有効としています。
- 小売業
- 飲食店業
- 旅客運送業(タクシー、バス、鉄道、航空会社など)
- 駐車場業
- 旅行業
- その他これらに準ずる事業で不特定多数の者に資産の譲渡等をおこなうもの
以上のことから、領収書とレシートはどちらでも構いません。
しかし、経理担当者の立場からすると、レシートの方が購入した物やサービスの内容はより細かく記載されているので帳簿記入する際に良さそうです。
また、税務調査が入った場合に、手書きの領収書だと内容が不明確で追求されたり、改ざんの疑いを持たれたりすることがあります。
レシートを発行している事業者から受け取る証憑書類は、レシートをそのまま受け取る方が良いでしょう。
(3)領収書やレシートを貰うときの注意点
領収書やレシートを貰うときの注意点をいくつか挙げておきます。
1.支払内容をできるだけ明確にする
支払った内容が、事業と関係が無いものは経費として認められません。
そのため、何に支払ったのかを明確にします。
レシートであれば、詳細に印字されている場合が多いので問題ないかと思います。
手書きの領収書で、但し書きが空欄だったり、「お品代」などのあいまいな書き方をしたりしていると、税務調査が入った際に追求される可能性もあるため注意しましょう。
2.高額な場合は宛名のある領収書にする
金額が高額な場合、税務署からのチェックが入りやすいです。
また、5万円以上の場合は収入印紙の貼付が義務付けられています。
消費税法上では、3万円未満の場合はレシートがなくても会計ソフトなどに記録がしっかりとされていれば認められます。逆に3万円以上の場合はチェックが入りやすくなります。
このため、3万円以上の高額になった場合はしっかりと宛名や但し書きを書いてもらう領収書をもらうようにしましょう。
3.社内規定に従おう
そこそこの規模の会社の場合、経費に関する社内規定が整備されているかと思います。
法的にはレシートなどでも問題なくとも、経理処理の関係上、領収書でなければならないこともあります。
飲食代の場合、会議費として計上するために参加者の人数や会議の目的などを記録しておくようにしている会社もあります。
まずは社内規定を確認して、関係部署がスムーズに業務にあたれるように、ルールに則った領収書やレシートをもらうようにしましょう。
(4)まとめ
ここまで、領収書とレシートはどちらをもらうべきかについて見てきました。
基本的には「いつ、どこで、何に、いくら使った」かがしっかりと分かればどちらでも良いです。
スーパーや飲食店などの場合は、明細がしっかりわかるので「3万円未満の金額ならレシートがよい」ということになります。
ただし、会社ごとのルールなどもありますので、その場合は社内規定をしっかりと確認してください。
領収書かレシートか迷いやすいところですが、大事なのは「事業用の経費の証拠になるかどうか」ということなので、この点を気をつけながら支出されると良いでしょう。
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